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「距離」というテーマ

2020.4.25

今回の公演「ディスタンス」はタイトル通り「距離」をテーマにした作品です。図らずもコロナ禍が始まりそのものズバリなテーマになってしまいました…作品自体の構想は2〜3年前からあり創作の機会を窺っていましたが、出演者の予定などが折り合わず今回まで持ち越されてきました。

今回その「距離」というテーマについて触れていきたいと思います。

個人的な傾向として作品を作るときにまずタイトルから考えるというものがあります。この作品に関してもタイトルとともにテーマが決まりました。
「距離」は英語で言えばdistanceなのですが、英語タイトルではなく「ディスタンス」
それは「距離」というテーマを据える上でいくつか考えたことがあったからです。

  • 物理的距離…長さ
  • 精神的距離…親密さ、慣れ
  • 時間的距離…過去、未来

一口に「距離」と言っても様々なイメージを持っており、それらを複合的なものとして捉えてみたいという想いがあり「ディスタンス」というカタカナ表記のタイトルとなりました。
また「距離」を創作上のテーマ、モチーフとして置くと同時にその「距離」ということを創作上のルールとして扱うことができたら面白いな、という想いが生まれました。

今まで大人少年の公演では自分自身も出演しながら演出するという形で創作をしてきましたが、今回は出演せずに演出に徹するということにしました。
それは作品との「距離」を置くということ。
出演するという形の当事者性は非常に作品と近い位置にありながら同時に全体を捉える難しさがあり、出演しないということで作品を俯瞰しやすくなるはず。距離を置くことで全体像を見ることができる、結果的に作品と密に向かい合うことができる。それがどこか逆説的な感じもあり面白そうだと思い、今回出演しないという方針にしました。

そして出演者に関して。
出演者をオファーする上でも「距離」ということをルールにしてみました。
自分と身体的に異なる存在、女性のみにしました。また同じ性別でありながら時間的距離、つまり年齢差があるということ。ダンスの創作現場では幅広い年齢層で構成されることは稀なように思っています。あったとしても振付家とダンサーという関係であったり。ダンサー同士で年齢の差があるということは身体を表現媒体として扱うダンスでは経験の差、体力などの差として如実に現れがちです。でもそれが良い方向での化学反応を引き起こしてくれたらいいな、と思い今回のキャスティングとなりました。

「はじめに」という投稿で触れてもいますが、この創作ログも「距離」ということへの試みです。今回自分が出演しないということもあって文章として創作過程を残すことができそうだと思い、取り組んでいます。まだ本格的にリハーサルが始まっていないのでそんな余裕残るのかは甚だ疑問ではありますが…笑
頑張ってみます。