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はじめに

2020.4.15

今回新作公演「ディスタンス」を創作上演するうえでいくつかやってみたいことがあり、その一つがこの創作ログです。

しばしばダンス公演、ダンス作品には「わからなかった」という声をいただきます。例えば1曲をフルで踊りきるような作品はダンス自体の爽快感、音楽との親和性などストレートに感覚的に楽しめるかと思います。
しかし劇場で上演される長尺のダンス作品、とくにいわゆるコンテンポラリー・ダンスの作品は必ずしも音楽を伴うわけでもなく、照明が暗くて見えづらかったりとか、より抽象的で、コンセプチュアルなものだったり背景にある文脈に強く紐づいていたりしており、一歩踏み外すと「?」を抱えたまま終演を迎えてしまうことが少なくありません。
もちろん帰り道に振り返ってみたり、時間を経ることで見えてくることがあることもありますが、とはいえモヤモヤとしたまま劇場を後にする経験がある方は多いと思います。私もあります…笑
「好きなように見ていいんですよ」ともよく言われたりもしますが、好きに見るというのはなかなか経験の必要なことなのだとも思います。

美術館などに行った時、キャプションを読んだりオーディオガイドを使って作品鑑賞をすると作品体験が変わるという経験をしたことがないでしょうか?もしくは観光地や近所の史跡のモニュメントの説明文や歴史を知ることで見え方や感じ方が変わるという経験。作品や物事に流れる背景を知ることで、良くも悪くも見え方というものは大きく変わります。

ダンス作品が抱えがちな「わからなさ」
それを似たようなことで解消できないだろうか?その試みとしての創作ログです。

この創作ログでは日々のリハーサルの様子のみならず、作品創作のヒントにしたモチーフやテーマについても触れていきます。それらを読むことで作品見るうえでの手助けになれば良いなと思っています。もちろん余計な事前知識なく作品を楽しみたい方もいることでしょう。なので、ご自身の判断で作品との「距離」を調整して鑑賞していただければ、と思います。もちろん作品を見終わった後に読んでみるのも面白いかもしれません。またこの状況下でクリエイションを行うことの備忘録としても残したいと思っています。
作品体験のスパイスとしてお使いいただければ幸いです。